2022.11.9(wed)

起床してしばらく不安感が続いた。抑うつ症状が強く、妻に何度か弱音を吐く。しかし生活の修正力というのは強力で、資源ごみである水曜日の日課として破棄すべき段ボール箱や紙資源などを集め始めた。妻の出勤まではあまり時間がなく、ラジオ体操だけを済ませて共に出る。そのまま30分ほど朝の散歩に出ようとしていたのだ。うつ病患者に効くのは起床後一時間以内に散歩に出かけることらしく、動くためにもコップに二杯ほど水分を摂った。

妻と別れてからは駅方面に向かった。出勤していく人々を眺めつつ、道を巡ることにした。音楽を聴きながら歩くことはだいぶ精神衛生上によく、今日はジョイ・ディヴィジョンのベスト盤を聴いた。健常だったころは暗い音楽だという印象が強かったが、抑うつ症状を抱えていると妙に寄り添うような優しい音楽に聞こえてくるから不思議だ。今年はジョイ・ディヴィジョンに生かされている気がする。イアン・カーティスの悲劇的な生涯とは関係なく、数十年後の日本にそうした聞き方——つまりヒーリングミュージックとして——をしているリスナーは確実に居る。ならば、作り手が受け手へ向けて示したい世界観など、取るに足らない事柄のように思えた。それが心地よいものである以上、ポジティヴィティからは逃れられない。

中村文則『土の中の子供』を読了した。過去に読もうとして挫折した気がする。装丁の暗いJ文学の印象とは真逆に、過去の「とらわれ」を克服する話だった。現在の精神状態では読み進めるのがつらいと感じたのは間違いないが、最終的に希望に着地したのがこの作者の物語としては珍しいような気がして、大いに好印象を持った。ちなみに、読み耽ったのは朝風呂につかりながらだ。なるべく起きている時間を増やすためにも、風呂に入る時間を増やして本を読む習慣を取り入れていこうと思う。